植物の葉や花から抽出したオイル、「精油」を使って行うアロマテラピー。
ヨーロッパでは立派な医学として受け入れられているポピュラーな植物療法です。
その王道といえば、深いリラックス効果で知られるラベンダー、気分をあかるくするスイート・オレンジ、集中力を高めるペパーミントなどがありますが、精油自体の種類は何百種類にも及ぶのをご存知でしたか?
今日は女性ならかならず知っておきたい精油のひとつ、クラリセージの効能・使い方について、おすすめのブレンドレシピとともにご紹介します。
クラリセージってどんな植物?
クラリセージは、ヨーロッパ生まれのシソ科のハーブ。
学名は、「Salvia sclarea」です。
花びらの色は種類によって違いますが、ピンク、白、もしくはブルーの花をつけることで知られています。
その背丈は約1メートルまで大きくなるそうで、可憐な花の印象とはまた別に、ワイルドな側面も感じられる魅惑的な植物でもあります。
1500年代のヨーロッパでは、主にエール(ビールの一種)の醸造に使われていたのだとか。
また、ワインにクラリセージのエッセンスを加えると、より酔いやすくなったという記録も残っています。
現代のクラリセージの使い方は、やはりエッセンシャルオイル(精油)を使ったアロマテラピーが主流です。
幅広い方法で、その効能を愉しむことができます。
クラリセージの効能
クラリセージの女性に嬉しい効能は、大きく分けて以下の四つに分かれます。
・スキンケア
・ヘアケア
・ストレス緩和
・女性特有の悩みの緩和
この項では、その効能にひとつずつ迫っていきたいと思います。
クラリセージでスキンケア
クラリセージは、お肌のケアにとっても有効なエッセンシャルオイルです。
オイリー肌の強い味方
クラリセージは、過剰な皮脂の分泌を抑えてくれます。
ティーンエイジャーでなくても、Tゾーンをはじめとしたお肌のテカリに悩む人は多いですよね。
クラリセージは、そんなオイリー肌の強い味方。
化粧水に混ぜて使うと、マイルドな収れん化粧水に早変わり!
皮脂を抑えてくれているのがよくわかりますよ。
抗菌・抗炎症作用
皮膚の感染症を防ぐ効果もあるクラリセージは、傷の炎症をおさえることでも知られており、ニキビやニキビをつぶしてしまったあとのケアにも効果的です。
また、クラリセージは、抗菌性の高いことでも有名。
同じく抗菌性の高いティーツリーのエッセンシャルオイルとブレンドしたクリームなどは、軟膏のような存在として活躍してくれます。
ヘアケアはクラリセージが有効
髪の毛に良いとされるエッセンシャルオイルは数多くありますが、その中でもクラリセージはまだあまり知られていないマイナーな精油かもしれません。
髪の成長を促す
クラリセージには、髪の毛の成長を促進させる効果があるとされています。
日本ではまだあまりメジャーではないかもしれませんが、欧米のシャンプー・コンディショナーにはよく配合されている成分でもあります。
代表的なところでは、カナダのオーガニック・ナチュラルヘアケアブランド「Calia(カリア)」が、同じく髪の毛に良いとされるローズマリーのエッセンシャルオイルとともにクラリセージのエッセンシャルオイルをブレンド・配合したシャンプーとコンディショナーを販売しています。
抜け毛・フケ防止
クラリセージは抜け毛を防ぐ効果もあり、薄毛になやんでいるひとには持ってこいのエッセンシャルオイルでもあります。
フケでお悩みの方には特に効果抜群で、オイルを使ったマッサージで、その効果を実感している人は数多くいるようです。
いずれの場合も、頭皮に働きかけることがキーポイントとなります。
クラリセージでストレス緩和
「現代社会=ストレス社会」
そんなふうに変換しても違和感がないほど、現代人はさまざまなストレスにさらされています。
電子機器に触れる回数も多くなり、知らないうちに新しいタイプのストレスが加速し、気がついたら「原因不明の不調だらけ」なんていう人も…。
そんなストレスにまみれた生活をほっとリラックスさせるのは、クラリセージが最も得意とする分野のひとつ。
抗うつ・鎮静作用
筆者も日々いろいろな種類のストレスを感じていますが、クラリセージの香りに出会ってからというもの、ストレスレベルが格段に下がったのを実感しています。
クラリセージの香りを嗅ぐと、心配や不安でカチコチに固まった心がふわっと柔らかくなるのがはっきりとわかります。
まるで優しさのベールに包まれたかのような、それはそれは特別な瞬間です。
ストレスで心身ともに疲れ切った時、まず手に取る一本。
筆者にとって、それがクラリセージなのです。
その効果は、クラリセージの持つ「抗うつ作用」がちゃんと裏付けてくれています。
クラリセージには、暗く憂うつな気分をあかるく盛り上げ、高揚させる効果があり、落ち込んだ時、何にもしたくない時などに手に取るといいとされているのです。
また、クラリセージには「鎮静作用」もあります。
これは興奮した心を鎮める作用で、パニックになってしまった時、緊張が続き不安が募る時、イライラが止まらないような時にも、抜群の効果を発揮します。
自信がないあなたに
クラリセージは、自分に自信がない、自尊心が低いといった悩みにも効果があります。
使用を続けることで、希望の気持ちを取り戻したり、自己実現のブースターになったりといった作用もあります。
もちろんこれには個人差がありますが、継続して使うことで自信を構築できたと感じる人は多いようです。
また、自分に自信がないという人が陥りやすいのが、パニック障害などに代表される不安障害。
孤独、さみしさ、大切な人の死などで引き起こされる強い不安感にも、クラリセージのエッセンシャルオイルは効果的とされています。
ストレスの原因は人によりさまざまですが、「最近心配の種が多くて…」という方には、ぜひ一度試していただきたいエッセンシャルオイルです。
女性特有の悩みの緩和
「女性特有の悩みの緩和」は、クラリセージ最大の効能といっても過言ではありません。
女性特有の悩みといっても、月経前症候群(PMS)から不妊までさまざまなものがありますが、そのほとんどに効果を発揮するのが、クラリセージのエッセンシャルオイルなのです。
クラリセージには、女性ホルモンの代名詞とも言えるエストロゲンに非常によく似たホルモンが含まれています。
このホルモンが助けとなる女性特有の悩みには、下記のことがあげられます。
・性関係の悩み
・生理不順
・月経前症候群(PMS)
性関係が苦手なあなたに
性関係の悩みとして最もポピュラーなのが、「パートナーのことを愛しているのにもかかわらず、行為に入るのがとても苦手」という声。
「妊娠したいのだけど、なかなかその気になれなくて…」なんていう声も、よく聞かれますよね。
クラリセージは、そんな女性たちの救世主になる可能性を持っています。
クラリセージには、古くから媚薬として使われてきたという歴史があります。
性欲を催させる力があるとされ、精神的な不安を取り除く意味でも、幅広く使用されてきました。
子宮の強壮剤とも言われるクラリセージには、分娩を促す効果もあり、出産時に使われることもあるのだとか。
問題を抱えている女性は、一度試してみる価値はありそうです。
生理不順
次によく聞かれる女性ならではの悩みが、生理不順。
いつ生理がくるのかわからないという不安な気持ちとアンバランスな月経リズムは、心にも身体にも多大な負担をかけてしまいます。
生理不順が続くと妊娠が難しくなるとする医者や専門家も多いことから、一刻も早い改善が望まれます。
そこで役に立つのが、クラリセージの持つ「通経作用」。
まさしくまばらになっている生理のサイクルを整える作用なのです。
他の効能と同じく、こちらも継続して使うことが重要となってきますが、生理不順に悩んでいた筆者も、クラリセージに出会って早数ヶ月、確実に効果を感じています。
月経前症候群(PMS)
また、クラリセージは、月経前症候群(PMS)に悩む女性の強い味方でもあります。
月経前症候群とは、生理前のホルモンバランスの変化が原因で起こる心身のさまざまな不調のこと。
代表的なものに、イライラ、情緒不安定、腰回りの鈍い痛み・だるさ、ニキビや吹き出物、暴飲暴食がしたくなる、などが挙げられます。
月経前症候群は排卵が正しく起こっていることのしるしでもありますが、この辛い症状、なかなか乗り越えるのにも根性がいります。
そこで力強い助けになってくれるのがクラリセージ。
マッサージのオイルに入れて使うと、生理前特有のけいれんを和らげてくれる他、その香り自体にもイライラを抑える効果があります。
「できるだけ身体にやさしい方法で、女性としての健康を高めたい」
そんな女性には、ぜひクラリセージを試してほしいと思います。
クラリセージの使い方とおすすめブレンド
クラリセージの効能を学んだあとは、その具体的な使い方を見ていきましょう。
おすすめのエッセンシャルオイルブレンドも一緒にご紹介します。
スキンケア
とっても簡単にできるローションとモイスチャーライザーです。
化粧水に混ぜて使う
筆者のお気に入りのクラリセージを使ったスキンケア法は、ずばり手持ちの化粧水にクラリセージのエッセンシャルオイルを混ぜてしまう方法。
100mlの化粧水に対し、クラリセージは2滴。
入れたあとはよく振って混ぜることを忘れずに、この分量もかならず守ってくださいね。
「スキンケア法」とも言えないようなシンプルすぎる方法ですが、手軽にクラリセージの収れん効果を感じたいという方にはおすすめです。
クラリセージの香りを引き立たせるためにも、化粧水はぜひ無香料のものをえらんでくださいね。
また、美白効果のあるラベンダー1滴、クラリセージ1滴のブレンドもオススメです。
さっぱりと油分を抑えつつ美白を狙えるとあって、夏にぴったりの化粧水ができあがります。
ココナッツオイルのモイスチャライザー
こちらもとってもシンプルな方法です。
固まったココナッツオイル30mlを湯煎で溶かし、遮光瓶に入れます。
そこにクラリセージを3滴入れ、よくかき混ぜます。
あとは気温の低い場所に置いておくだけで、できあがりです。
アロマテラピーのクリーム作りにはビーズワックスを用いたものが人気ですが、「時間がない」、「細かい作業は苦手」という人には、勝手に固まってくれるココナッツオイルに混ぜるだけのこの方法がオススメです。
ココナッツオイルには強い殺菌作用があるだけでなく、毛穴をふさがないという特徴もあるので、オイリー肌でも安心。
筆者はいつもスキンケアの最後はココナッツオイルで締めていますが、ニキビができるどころか、透明感が出て化粧ノリもよくなるので大変重宝しています。
それから、ココナッツの甘い香りとやさしいクラリセージの香り、意外と合うんですよ。
他にはティーツリーを1滴加える方法もありますが、こちらは少しメディカルな香りになります。
ヘアケア
フケや抜け毛に、こんなシンプルなヘアケアで効果があります。
簡単だからこそ続けられ、頭皮と髪の健康を維持できるシンプルケアはうれしいですね。
シャンプー前のスカルプマッサージ
これも筆者が気に入って行っているヘアケア法です。
手のひらにスプーン一杯分のココナッツオイルを乗せ、そこにクラリセージのエッセンシャルオイルを1滴だけ垂らします。
手のひらで混ぜ合わせ、頭皮につけてマッサージします。
下から上へと頭皮を持ち上げるように行うと、さらに効果的です。
30分置いたら、あとはいつも通りシャンプーするだけ。
ココナッツオイルだけでやってもいいのですが、クラリセージを加えることでより効果的に、頭皮のにおいも抑えられます。
べたつくのを心配している方は、さっぱりとした仕上がりに驚いてしまうかも。
無香料の自然派シャンプーに混ぜる
こちらは毎日定期的にクラリセージのヘアケア効能を楽しめる方法です。
100mlの無香料の自然派シャンプー(石けんシャンプーなど)に対し、クラリセージの精油は10滴。
よく振って混ぜるだけです。
毎日クラリセージ入りのシャンプーを使うことで、フケや抜け毛を防ぎ、健康な髪を目指すことができます。
ブレンドの相性がいいエッセンシャルオイルは、ローズマリー、ラベンダー、イランイランなど。
全部で10滴以内であれば、好きなように混ぜてしまって構いません。
ストレス緩和
就寝前のリラクゼーションに、急な緊張の緩和にクラリセージはその効果を発揮してくれます。
アロマディフューザーで芳香浴
無印良品などで売っているアロマディフューザーがある人は、毎晩眠る前にクラリセージの芳香浴を楽しみましょう。
お水30mlに対し、1〜2滴で十分に香ります。
眠る前の習慣として取り入れることで、ストレスを和らげながら心身を休めることができます。
ハンカチに染み込ませる
急にパニックになってしまったというときにも使えるのが、ハンカチやタオルにクラリセージを1滴染み込ませる方法。
これを鼻からゆっくり吸い込むことで、すーっと落ち着いていきます。
オフィスや学校でも、つねにクラリセージのエッセンシャルオイルを常備しておきましょう。
急な気分の落ち込みやイライラにも賢く対処できます。
女性特有の悩み
クラリセージは女性の悩みもサポートしてくれます。
芳香浴
性生活が苦手という方は、ストレス緩和の時と同じように、芳香浴がオススメです。
ベッドのとなりにディフューザーを置いて、部屋中に香りが行き渡るようにしましょう。
おすすめのブレンドは何と言ってもイランイラン。
官能的な気持ちを呼び起こす香りとして有名です。
クラリセージとイランイランのコンビは、この悩みの王道ブレンド。
どちらとも比較的安価なエッセンシャルオイルでもありますので、ぜひ試してみてください。
マッサージ(月経前症候群 & 生理不順)
生理不順に悩んでいる人はもちろん、PMSがきたと感じたらすぐに行いたいのが、クラリセージ入りのオイルを使ったマッサージ。
キャリアオイル(スイートアーモンド、ホホバ、アボカドなど、お好みの植物オイル)20mlに対し、クラリセージを5滴、ローズオットーを3滴入れ、よくかき混ぜます。
鈍痛を感じやすい腰まわりだけでなく、からだ全体をマッサージします。
イライラしがちだった気持ちもすーっと収まり、いつものやわらかな気持ちが取り戻せます。
その他おすすめのブレンド精油は、カモミール・ジャーマン、サンダルウッド、オレンジ・スイートなど。
8滴以内であれば、好きなようにブレンドしてOKです。
クラリセージの注意事項
そんな素晴らしい効能に溢れるクラリセージですが、いくつか注意事項があります。
妊娠中は使用不可
性関係に強い精油としてご紹介したクラリセージですが、妊娠中の使用は控えてください。
お産を早めてしまう危険性があります。
生理中は使用厳禁
こちらもよく勘違いされてしまう点なのですが、クラリセージが有効なのは月経前症候群の不調であり、生理痛などの生理中の不調ではありません。
アルコール飲料との使用不可
冒頭でも述べたように、クラリセージにはアルコールをさらに酔いやすくする作用があります。
クラリセージ自体に感覚をフラットにする効果があるので、運転などの集中力を要するシチュエーションの前は使用を控えましょう。
おわりに
今回は、アロマテラピーにおける女性に嬉しいクラリセージの効果的な使い方や、アロマの効能や使い方とブレンドのやり方をご紹介しました。
クラリセージの香りは苦手だという人も、ブレンド次第でいかようにも自分好みの香りに仕上げることができます。
ぜひ一度ためしてみてくださいね。