ウドは、日本全国どこでも手に入る春の山菜です。
「独活の大木」と言われるように、ウドは2~3メートルの大きさに育ちます。
育った頃には食べることもできず材木にもならないので、「図体ばかりで、何の役にも立たない」時に使われますね。
ウドは、春の山菜の中でも比較的手に入りやすいうえ、下処理も他の山菜ほど難しくありません。
それでいて、春の香り満載で美味しく、捨てるところがないほどすべて食べられるのですから、うれしいかぎりですね。
この記事では、山うどの下処理やアク抜きの方法と美味しい食べ方、ふだん捨ててしまう穂先や皮を使った天ぷらやきんぴらの作り方をご紹介します。
山うどの下処理やアク抜きの方法
山うどの旬は3月から5月頃と言われ、また生育地の環境にもよりますが、実際は初夏ごろまで食べられます。
穂先がみずみずしく茎が太く短めで、全体に細かい毛がびっしり付いているものが良いです。
ウドは独特の風味と、シャキシャキとした歯触りがたまらないものです。
この持ち味を損なわないように、下処理やアク抜きをしましょう。
- ウドには産毛のような毛がいっぱい生えていますので、包丁の背などでこそげ落とします。
- 皮を厚めに剥いてください。(皮はきんぴらや天ぷらに使えます)
- 皮も茎も酢水で、10分~15分さらしてアク抜きします。(さらさないと茶色くなります)
- アクが苦手な方は。少し長めに酢水でさらしたり、酢を落とした湯で茹でたりします。
- 茹でる時は茹ですぎないように、シャキシャキが残るようにさっと湯に通して水にとってください。
美味しい食べ方(皮をむいた茎)
山うどを食べる時は、生でいただくことが多いですよね。
シャキシャキとした食感や、春の香りが満載のうどは春の食卓の名脇役ですね。
生で食べる
酢味噌和え
定番ですが、スライスした生のウドを酢味噌であえます。
また、貝のむき身と酢味噌やポン酢で、タケノコと木の芽和えで。
ホタルイカと山うどのからし酢味噌
ホタルイカもちょうど旬を迎えますので、スライスした山うどとからし酢味噌でいただくのが美味しいです。
和風サラダ
豆腐や鰹節を添えて和風ドレッシングにすると、おもてなしにもステキです。
中華風酢の物
クラゲと山うどに、酢・砂糖・塩・ゴマ油の合わせ酢をかけます。
中華ドレッシングを利用するともっと手軽にできます。
山うど味噌漬け(浅漬け)
歯ごたえが良く、ウドの風味がダイレクトに味わえる味噌漬け。
作り方もお手軽で簡単なのに、懐石料理のようなインパクトがあります。
アク抜きは味噌がやってくれますが、苦手な人は水にさらしてアク抜きしてから味噌に絡めると良いでしょう。
2~3時間したら食べられますが、翌日にはもっと味が染みて美味しいですよ。
味噌漬けの作り方
- ポリ袋に味噌と醤油を同量入れ軽く揉むと、ドロドロした味噌になります。
- 皮をむいて拍子木に切った山うどの茎を味噌に入れ、軽く絡めるようにします。
2~3時間ぐらいたってからが、おいしいですよ。 - お急ぎの時は、そっと揉んでも効果的。あっという間に食べられます。
加熱調理する
うどは加熱すると、独特の香りが優しくまろやかになるような気がします。
特に煮物がおすすめで、たくさん手に入ったときなどチャレンジしてみてはいかがでしょう。
澄まし汁
アサリやハマグリの澄まし汁の汁の実にすると、香りよく季節感たっぷり味わえます。
春の香りの吸い口として使ってください。
煮物
だしの効いた醤油味でも味噌味でも薄味で煮ると、とてもおいしいです。
煮るだけですが、野趣あふれる優しい味がたまりません。
コトコト軟らかく煮ても美味しく、硬さはお好みでどうぞ。
中国料理
中国料理にもあう食材です。
エビや貝の大きさに合わせてウドを切り、清炒(ショウガ・酒・塩で味付けのあっさり中華炒め)にします。
卵とウドの中華風スープは、ふわふわ卵とシャキシャキのウドがたまりません。
穂先や皮は捨てずに天ぷらやきんぴら
ウドは捨てるところがありません。
画像のような穂先も、葉っぱも、剥いた皮も、すべて食べてしまいます。
山うど穂先の天ぷら
白い茎の部分で天ぷらするだけでなく、穂先も皮も美味しくいただけます。
いろいろ山菜はあるけれど、ウドの穂先の天ぷらほど香りと食感が素晴らしいものはないように思いますね。
穂先の天ぷら作り方
- ウドの穂先は、アク抜きせずによく水気をとります。
- 衣を軽くつけ、油の温度は170℃位で揚げます。
- パリッとしたら、油をよく切ってください。
パリッと美味しく仕上げるには、一度にたくさん鍋に入れないことです。
温度が急激に下がると上手に揚がりません。
葉っぱや皮のかき揚げ作り方
- ウドの皮や葉とニンジンを短冊に切ります。
- イカは皮をむき、2㎝ほどの角に切ります。
- ベビーホタテの貝柱とイカは、小麦粉をはたきます。
- 天ぷらの衣を作り、材料を入れ油で揚げます。
- カリッとしたら、油をよく切ります。
ウドだけでも美味しいウドのかき揚げができます。
山うどのきんぴら
皮をむいた茎の部分でも作りますが、皮や葉でも十分おいしくいただけます。
ウドの皮にニンジンを入れて作りました。
筋っぽいのではないかと心配される方もいらっしゃるかと思いますが、筋は全然気になりません。
ウドだけでも、ニンジンや糸こんにゃくを加えても、ご飯のお供やお酒の肴にぴったり。
ご飯が進んで、止まりませんね。
もちろん中身は、味噌漬けや酢の物に。
山うどの皮きんぴらの作り方
- 皮は3㎝ほどの長さの細切りにして、水をかける位のアク抜きをします。
- ざるにとりよく水を切ったら、唐辛子の小口切りとゴマ油(サラダ油でも)で炒めます。
- 醤油とみりんをからませ、水分を飛ばします。
甘いのが好きな方は砂糖を足してください。 - 盛り付けたら、ひねり胡麻をかけます。
その他美味しい食べ方いろいろ♪
保存食に山うど味噌もおすすめ!
ふきのとう味噌や柚子味噌のように、ウドでも味噌をつくりましょう。
この味噌はなかなか使い勝手がよくおすすめです。
もちろん茎の中心部でも作れますが、皮や葉、穂先ならいっそう香りがあります。
日本酒にもオツな肴になりますし、食欲のない時ご飯が進みます。
おにぎりに結んでランチにもよいですね。
豆腐の田楽味噌の代わりに使っても、目先が変わっておいしいものです。
熱湯滅菌したビンに詰めて保存できます。
山うど味噌の作り方
- うどはみじん切り。(フードプロセッサーでもOK)
- ゴマ油でウドをしんなりするまで炒めます。
- 味噌・酒・水あめ(砂糖)をよく混ぜ、好みの固さまで煮詰めます。
味の加減は好みでどうぞ。
とろりとした味噌に粒々の香り高いウドがたまりません。
固い茎も炒めて『絶品山うど混ぜご飯』に☆
普通は捨ててしまうような茎の固い部分も工夫しだいで、香り豊かな混ぜご飯を楽しむことができますよ^^
『絶品山うど混ぜご飯』の作り方
【材料】
- 山うど(茎の固いところでもOK)
- きのこ類(しめじやエリンギがおすすめ)
- 米 2合
- 水 400ml
- 醤油 小さじ2
【作り方】
- 米は洗ってザルにあげておく
- 山うどを小口切りにする(5mmぐらいの大きさがベター)
- きのこは山うどの大きさに合わせて細かく刻む
- フライパンに油を熱して山うどを炒める
- 山うどが柔らかくなったら、きのこ・水・醤油を入れてひと煮立ちさせる
- 炊飯器に米とフライパンの煮汁を入れてスイッチを入れる
(米の分量の水を確かめて。水が足りなければ足してください) - 米が炊きあがったらフライパンの具を入れる
固い茎は細かく刻んで油で炒めることで柔らかく食べやすくなります^^
おわりに
栽培の白いウド(軟白うど)より、香りも歯ごたえもよい緑色の山うどが、特別な美味しさを届けてくれます。
この山ウドを余すところなく楽しんでいただければ幸いです。
山うどの下処理やアク抜きの方法は難しくないですよね。
穂先の天ぷらと皮で作った味噌やきんぴら。
野趣あふれるお料理で、ウドをすべて食べきってください。
もし、山にウド取りに出かけらなら、ウドを取った後は土をかけてあげてくださいね。
翌年もまた美味しいウドが出てきますので。