富山湾の春の風物詩といえば、やはり全国的にも有名な魚津の蜃気楼でしょう。
蜃気楼というと、幻の住民が住んでいる街が忽然と水平線に姿をあらわすというなんともロマンチックな響きでワクワクしますね。
とはいっても、蜃気楼は決してオカルトちっくなものではなく、科学的にも裏付けされている立派な自然現象!
富山湾で見られるこの蜃気楼は一体何が見えるのでしょうか。
蜃気楼はなかなかお目にかかれない珍しい現象ですが、見やすい時期や時間や条件、スポットについてもご紹介します。
蜃気楼は何故見える
水の入ったコップに箸を入れると、箸が曲がったように見えます。
これは、「空気」と「水」という2つの異なる媒体での光の進む速さが違うために、水と空気の境目で光が屈折しているため、そのように見えるのですね。
これと同じことが、同じ大気中の中でも起こり、空気の密度差があるとその境目で光は屈折します。
密度、というのはつまりは温度のことで、冷たい空気の方が温かい空気よりも密度が高いのです。
この大気中の密度差よって、境目がレンズのような役割をし遠くの景色が虚像として映し出されるのが蜃気楼。
春から初夏にかけて富山湾で蜃気楼が多く見られるのは、富山湾に流れ込む冷たい雪解け水が海上の空気の上の方と下の方に温度差ができやすいためなのです。
富山湾・魚津の蜃気楼は何が見えるのか
船が反転して合体してる!
海の向こうに広がる幻想的な景色。
それはビヨーンと伸びていたり、逆さまになっていたり、はたまた縮んでいたりとなんとも不思議な光景なのですが、いったいこの映像は何なのでしょう。
魚津の海岸からは、北から西に能登半島や氷見市、西から南西にかけては高岡市、新湊市、富山市、北東側は黒部市を見渡すことができますが、蜃気楼で見える映像はその対岸の工場などの風景や沖の船の映像が変形して見える景色なのです。
普段もその景色は見えていますが、10km~20kmも離れた景色が伸びたり縮んだり反転したりして水平線に浮かんで見える映像。
また、普段見えている景色だけでなく、見えない景色も現れることがあるようです。
蜃気楼が出る前の景色
蜃気楼が出ている景色
富山湾・魚津の蜃気楼のおすすめスポット
ロケーション的に富山湾全体が見渡せる魚津が蜃気楼の名所ですが、「しんきろうロード」と呼ばれる経田漁港からミラージュランドまでの約8km海岸沿いの道路がよく見られるスポットとして有名です。
シーズンになると、この道路沿いには多くの観光客や地元の人が蜃気楼の出現を待ち構えているようですよ。
しんきろうロードにはこんな看板がたっています。
経田漁港からミラージュランドまでの8kmの海岸沿いは地図の青い線のところで、ちょうど南北に伸びるラインです。
また「魚津埋没林博物館」では、蜃気楼が見ることができたら「蜃気楼出現証明書」を発行してもらえますし、もし見られなかったときも「蜃気楼みられんだちゃ証」を発行してもらえますw
ちなみに、富山弁)「みられんだちゃ」 → 「みられなかったです」
見られなくても証明書を発行してもらえるなんて、残念ですけどちょっと嬉しいですよねw
こちらの「魚津埋没林博物館」にも蜃気楼を見るための展望台がありますよ。
この周辺からは、氷見方面、新湊方面、富山岩瀬方面、黒部生地方面の蜃気楼を見ることができます。
出典:www.biwa.ne.jp/~t-ban/uozu_map.htm
富山湾・魚津の蜃気楼が見られる時期や時間・条件は?
富山湾・魚津の蜃気楼が見られる時期は、春3月下旬~6月上旬頃が一番多く出現します。
出現する季節が決まっていて、かつ、その期間の中で出現頻度が高い蜃気楼というのは、世界でも珍しい方です。
比較的魚津の蜃気楼は、見やすい蜃気楼であるといえるでしょう。
特に、気温が一気に高くなるが海水がまだ冷たい4月~5月は観測のピークになります。
時間帯は、午前11時~午後4時頃が出やすいです。
2017年は22回の出現が記録されていますが、そのうちの12回がこの時間帯に出現しています。
蜃気楼は大気の温度差が条件で出現するので、朝の気温と日中の気温の差が大きいのが良いようです。
予報を見て、昼間の気温が高いが朝けっこう冷え込むなという時は狙い目かもしれません。
さらに気温は18度以上の晴れの日が多いですね。
当日晴れで、次の日から天気が崩れそうなときはかなり高確率になりそうです。
肉眼では見にくい場合もあるので、双眼鏡は必須です。
蜃気楼は地元住民でも「見たことがある」という人は少ない極めてレアな自然現象ですので、せっかくのチャンスを逃さないようにしっかりと目に焼き付けておきましょう^^